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涌井学・『世界からボクが消えたなら』を読んだ感想

涌井学・『世界からボクが消えたなら』(小学館文庫)を読みました。原作は、川村元気・著『世界から猫が消えたなら』で、映画化されて現在上映中です。

涌井学・『世界からボクが消えたなら』を読んだ感想

私は原作は読んでいないのですが、この本は、『世界から猫が消えたなら』を、猫のキャベツの視点で書いたお話。

明日死んでしまうかもしれない飼い主を見つめながら、猫キャベツは何を考えていたのかという描き方が面白いと思います。

ただ、2つばかり、納得がいかない点がありました。まあ、ファンタジーなのであり得なくても構わないのですが、最後まで違和感を感じていたのは、キャベツが飼い主を呼ぶ「ご主人さま」という言い方。

果たして猫は飼い主を「ご主人」と思っているのか ということ。猫を飼っている人はわかると思いますが、犬と違って猫は決してご主人を持たない動物なんですよね。

便宜上「飼い主」とは言っていますが、猫は誰にも従わない「オレさま」な動物なのです。ですから、同居人、エサ係、良くて母猫というくらいの認識ではないかと思うので、小説の中の「ご主人さま」が、ずっと違和感でした。

まあ、そんなことは些細なことでどうでもいいのですが……

それと、主人公が死ぬと宣告された原因の脳腫瘍。これ、亡父が患った病気なので、発病から亡くなる時まで見てきました。

腫瘍ができた位置によって症状が違うせいかもしれませんが、明日死ぬと言われている人が、こんなに元気に動けるなんて、ちょっと奇跡に近いような気もします。

闘病を描いているのではなく、死を目前にした主人公の心の中に焦点を当てているので、こういう表現になるのだろうとは思います。が、父の闘病生活を思い出して少し切なくなりました。

小説の内容と関係なく、私の特別な思いのある猫と脳腫瘍という言葉に引きずられながら読みました。
ストーリーはこちらで読めます →界から猫が消えたなら公式サイト

悪魔との契約で、1日分の命と引き替えに、モノが1つ世界から消えることになります。

当たり前に存在していたものが消えることで、自分と、自分に関わる人にまで影響があること、消えたことではじめてその大切さを知ることになる主人公。

猫の視点から描いているので、主人公の心の中の葛藤については詳しくは描かれていません。そのため、割とアッサリした描写でお話が進んで行きます。このあたり、原作ではどう描かれるのだろうかと想像しながら読みました。

原作よりも先に読むくらいですから、猫好きな私が引き寄せられたことは確かなのですが、やはり、原作を先に読めばよかったかなと、ちょっと後悔もしています。

後で原作を読んでみたら感想が変わるかもしれませんが、実のところ、猫の視点からの小説が果たして必要だったのかと、疑問も感じているのです。

シルル

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